絆 〜第1章〜 3節
警察が立ち去ってしばらくが経った頃にディズは帰って来た。

「遅かったわね」
「そこで泥棒があったらしくて、警察が道を通行止めにしてたんだ」
「あ、ごめん。それ俺様のせい」
「ていうか誰だ?」
「ディルだ!」
「それよりも君なんでここにいるんだ?」
「追いかけられて逃げた先がここだったんだ」
「レイスがいる部屋に入ってよく殺されなかったな」
「実際殺されかけたんだな」
「じゃあ本当に死んでみる?」
「いや、けっこうです!」
「でも、なんでディルをこの部屋の置いておくんだ?警察に仲間だと思われるだろ?」
「ディルのピアスには、不思議な力があるの」
「不思議な力とここに置いておくのにどういう関係があるんだ?」
「さっき警察たちに追われてこの部屋に入ってきた時に、ディルの手から炎が出たの。この力は後でなにかの役に立つと思ったの」
「ま、その力は、このピアスのおかげなんだな」
「あれ?そのピアスどっかで見たことがあるな…」
「あなたのピアスじゃないの?」
「あ、そうだこれだ!」

ディズは、右耳につけたピアスをたたいた。

「じゃあ、俺も不思議な力が使えるのか?」
「多分そうだな」
「でも、どうやって使うんだ?」
「たとえば、火の魔法を使いたいなら、頭の中で『火よ出ろ!』って念じるんだな」
「えらい簡単だな」
「うそだと思うなら見てみるか?」
「ああ、そうしてくれ」
「ふん!」

ボオオオオ…
ディルの手の中から炎が飛び出した。

「おお!」
「それじゃあやってみてくれ!」
「ふん!」

チリチリチリ…
ディズの手からも炎が出た。
炎と呼べる大きさではないが。
それにしても、≪グレイピス≫を使いこなすなんて…ディルって男なかなかやるわね…。

「お?出た!初めてなのにやるな!」
「ちっちぇえけどな」

ディルはほめたが、ディズはふてくされた様子だった。

「さっさと行かない?」

レイスの声には、苛立ちが混ざっていた。

「そうだな、行こう!」
「ところで、馬車はどこ?」
「え?表に止めてるはずだけど…」

ディズは、窓から外を覗いた。

「ああああああああ!!!!!!!!」
「盗られたのね?」
「ご、ごめん」
「ん?あれじゃないか?」

ディルの指差したほうに、馬車が一台あった。
どうやら、溝にはまって動けないらしい。

「この馬車泥棒め〜!」
「行くの?」
「ここで行かなかったら男の名が泣く!」
「泣くわけないでしょ」

レイスの冷たいつっこみを無視してディズは、窓から飛び出していった。

「仕方ないわね…私たちも行くわよ」
「行くってここ…3階なんだけど」
「なら、大丈夫ね」

そう言うと、レイスはディルの服をつかんで窓から飛び降りた。
ディルの顔から血の気が引くのを私は見た。
でも、悲鳴を上げなかったのは、えらい。
いや、上げられないのか。

ストッ

「こ、怖かった…」
「あなた意外と怖がりなのね」
「普通は怖がるわ!」
「文句ある?」
「…ありません」

レイスの言い方は、脅迫してるように聞こえた。

「ぎゃ〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

馬車泥棒たちの悲鳴が聞こえてきた。
馬車泥棒は全滅だね、多分。
ロキ
2003年06月16日(月) 23時18分19秒 公開
■この作品の著作権はロキさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
この物語は、ある小説の影響をかなり受けてるんです。
内容は全然違いますけど。

なんか徐々にキャラたちの個性が出てきたような…。
微妙に提供してくださったのから変わっていかないようにがんばりますけど。

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まちがった〜!いつみてもたのしいっす!ファイト! 5 S&AのA ■2003-06-17 19:10:41 um1-44.2tokyo.pep.ne.jp
wa-i1 1 S&AのA ■2003-06-17 19:09:22 um1-44.2tokyo.pep.ne.jp
おう3人組になったのかな?いろいろ変わるだろうけど。これから読みますよ 3 バンプオブチキン ■2003-06-17 16:30:51 yahoobb219040056034.bbtec.net
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