絆 〜第1章〜 2節
結局、昨日は酒を飲んで話をしただけだった。
ディズが少々落ち込んでいたが、レイスは完璧に無視をしていた。

「で、どこに行くんだ?」
「そうね…アガトにでも行こうかしら…」
「お?それじゃあ行き先は一緒だな」
「あなたもアガトへ?」
「ちょっと仕事を頼まれたんだ」
「なら、一緒に行く?」
「ほんとか?」
「うそをついても仕方がないでしょ」
「まあ、そうだよな…」
「それに、一人よりも二人の方が安全でしょ」

あんたの場合は、一人でも大丈夫でしょ。
人間が相手だと。
それよりも、レイスが男を誘うなんて…。
やっぱりこの男との関係は奥が深そうね…。

「じゃあ、行きましょ」
「でも、行くって何で行くんだ?」
「歩いてだと時間がかかりすぎるわね…」
「かといって列車は高いし」

そう。この時代はまだ列車に乗るのは、金持ちやかなりの距離を移動する人たちぐらいだった。
でも、馬車とかよりはずっと安全な旅ができる。

「仕方ない、馬車でも借りるか?」
「歩くよりはましね。そうしましょう」
「それじゃあ、ちょっくら借りて来る」
「ありがとう」

私は、ディズが出て行ったのを確かめると、レイスにたずねた。

「あなたとディズの関係って、ただの同じ村出身だけじゃないでしょ?」
「どうして?」

お?珍しくレイスが動揺してる。

「だってあんな楽しそうなあなたはじめて見たもの」
「…私たち、昔付き合ってたの」
「別れたの?」
「ええ、私が村を出ていく時に。」
「そういえば、昨日『あなたも何かされたの?』って聞いてたけど、あなたが村を出た理由って何かをされたの?」
「…ええ」

その声には、元気がなかった。
だから私は、レイスに追求はしなかった。
人にはそっとしておかなきゃいけないこともあるんだから。

その後、しばらく沈黙が続いた。
でもそれは、こんな声で終わった。

「泥棒〜〜〜〜〜!!!!!」

こんなところにも泥棒がいるなんて。
正直驚いた。

ドタドタドタ…

音からして、その泥棒はこの宿屋に入ってきたようだった。
しかもこちらに近づいてくる。
どうしてこう厄介ごとが多いのかしら?

ガチャッ

扉を開ける音が聞こえて、私はディズが泥棒をしたと思った。
私たちを巻き込むのはやめてほしい。
でも、入ってきたのは違う男だった。
金と青が混じった長髪の男。
服装からして、いかにも泥棒だった。
顔はまあまあだけど、私の趣味じゃなかった。
どうせ、ここでお別れだけど。
レイスは、その男をにらみつけると、私をつかんで男に容赦なく斬りかかった。
男は、服装に似合った動きでレイスの攻撃をよけた。

「そんなに動けるんなら、追いかけてきてるのをやっつければいいじゃない」

しまった、またしゃべってしまった。
男は、レイスは口をあけていないのに声が聞こえたことに、驚いて周りを見渡した。
馬鹿だ。
レイスと戦ってる時によそ見なんかしたらすぐに斬られるのに。
でもそうはならなかった。
男に追いついた警官達がやってきたからだ。
男は、小さく舌打ちをした。
レイスは、私を鞘に戻した。
警官達は、レイスは関係ないと見たのか、男の周りを囲み、一人はレイスの前に立った。

「もう大丈夫ですよ」

その警官は、レイスにそう言った。
あんた達なんか来なくても大丈夫なんだけどね…。

「おい、お前!盗んだものを早く返せ!」
「いやだな。」
「返さないと、痛い目にあうぞ」
「それは、こっちのセリフだな!」

その時、男の手から炎が飛び出た。
それにはさすがに私たちも驚いた。
その炎は警官たちの服に次々と燃え移っていった。
警官たちは、悲鳴を上げながら走り去っていった。

「あなた…何者?」
「ん?俺か?俺の名前は、ディル、ディル=グレイへブンだ。お前は?」
「レイスよ」
「よろしくな!」
「なに?あなた?なれなれしいわね」
「それより、巻き込んじまってすまなかったな」
「ところで、さっきの炎何?」
「このピアスの力だ」

ディルは、左耳につけたピアスを触りながら言った。
そのピアスには、変な文字が刻まれていた。
私は、そのピアスを見たことがある。
魔物を倒すために私たちが作られた頃の兵器のひとつ。
名前は、グレイピス。
これをつけた者は、少しながらも魔法が使えるようになる。
ロキ
2003年06月15日(日) 19時54分15秒 公開
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■作者からのメッセージ
やっぱりかなり長くなりそう…。
がんばって書きますけど。

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wa~どうなるのかな。 5 S&AのA ■2003-06-15 21:37:44 203.139.244.118
ドゥワハハハハ(何)ディルかなりかっこよく書いていただいてありがとうございます!!長くなろうともオレは読むつもりですよ〜(理由はオレの書いてる小説も長くなりそうだから{ぇ}) 5 バンプオブチキン ■2003-06-15 21:24:35 219.40.56.34
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