<CROSS>外伝〜エデンの東〜 |
ズドドドドドドドドド!!! 銃声が聞こえた。それも、すぐ近くで。 「きゃっ!?」 銃弾が巻き起こした爆風に、ライムは一瞬だけ、目を塞いだ。 そして、その目を塞いだ一瞬のうちに ………。 彼は、消えていた。 「え?」 ライムは辺りを見回した。そんなハズは無い。今の今までここにいたのだ。そして、私を…………。 「ああああああああああああああああああああああ!!!!!」 ライムはすぐ叫び声がした方を見た。 上! 彼はとてつもない高さにいた。跳躍だけであそこに行ったのだろうか? 「瞬発力、判断力、反応速度、エトセトラ。流石は『人狩り』と言ったところね………」 「……!?」 気づけば、横に人がいた。白いユニットスーツを着て、左腕によくわからない武器を装備している。声や髪の長さから、おそらく女性だろう。だが年齢は自分とそう変わらないはずだ。 ―わからない。何?これ…この状況は一体何なの?― 「あ、あなたね。よかった〜。生きてたんだ。でもビックリしたよ全く〜。いきなり立ってアイツの目の前に立ちはだかるんだもん。死ぬ気かと思っちゃった」 リーネがライムに気づき、声をかけた。 「………………え……」 ライムが言えたのは、それだけだった。 「ああああああああああ!!」 サンプルの声が聞こえた。 「話は後!あなたはどっかに隠れてなさい!」 ダンッ!!! サンプルが両足と右手を使って着地した。それと同時にリーネはゴーグルの右側を触った。 ヴン! ゴーグル内に映ったサンプルを自動記憶させて、保護フィルターをかけた。そしてそのフィルターをかけた情報は、一瞬のうちに仲間の所へ届く。 「サンプルを認識。LOCK完了です。これよりフェイズUに移ります」 「……うわ、すごいなコイツ。一体何メートル跳躍したら地面にこんな穴ができるんだ?」 「場所は先程言ったと通りだ。全力で回避し、かつ目標を捕獲地帯へ連れ込め」 「拉致監禁なんておだやかじゃない。それになんだかストーカーっぽくて俺は嫌だな〜」 リーネの通信から、仲間達の声が漏れた。 「好き勝手言ってくれて。私がやるんですからね。私が」 リーネはどこまでもマイペースだった。 「あああああああ…………!!」 そこにサンプルの唸り声が聞こえる。 ジャキ…! 「何を……?」 ライムが聞いた。しかし、リーネは答えない。 ガコ…………バキン! 何を思ったか、リーネがいきなりGアサルトを腕から外し、地面に置いた。放った、の方が正しいような置き方だった。 カシャ……! リーネの手はすぐさま腰に付けられている一対のホルスターに伸び ジャキン! 「やっぱりこっちの方が性に合うな〜」 2丁の拳銃を取り出した。そして、 「来なさい、化け物ッ!!」 銃口をサンプルに向ける。 「でやぁっっ!!」 「あああああ!!」 リーネの声とサンプルの声が交差した。 トリガーを引く。 ドォン!! 銃声が、都市をこだました。 チッ!! ……ダン!! 「………!」 サンプルは銃弾を簡単に避けると、リーネに向かって突進した。 「あああああああああああ!!!」 「そうこなくっちゃ♪」 いきなり、リーネはサンプルに背中を見せると走り始めた。 「逃げたの?」 ………否。 サンプルがついてこれるようにわざとスピードを落とし、誘っている。 「先程までの、あれは」 全部挑発。ついてこさせる為の。 彼女は派手に撃って全部外していた。あれは……! 「強き『物』よ。全てを決めるのは力か………それとも」 リーネが自問自答のように呟いていた。 ビルの外壁のでっぱりに飛び移り、そこから更に高い所へ飛んだ。 「ああああああああああ!!」 雄叫びを上げながら、サンプルと呼ばれた『人狩り』は『人』をどこまでも追って行く。 追われているリーネが、言った。 「それとも、意思か。あなたは、どう思う?」 もうすぐ、捕獲地点に辿り着く。 「フフ………。もうすぐですね。これで彼の思いは届くでしょう」 「彼女にはもうすこし頑張ってもらいたかったが、これもやむなしと言ったところか…」 「あら?まだもう1人残っていますよ。彼の行動はもう1人の彼女のトリガーとなりましょう」 「だといいがな。彼女の役目は、彼女に受け継がれる」 「紅色の風が吹くとき、彼女が見る景色は一変し、それが彼女にある一線を越えさせる。………そして」 「二度と戻らない……。彼女は心を失い、永遠という名のエデンを彷徨い続けるから」 「意地悪。人が言おうとしていた事を先取りして」 「どうかな。非道なのはお前の方ではないか?」 「フフ……それはあなたもでしょう?彼が苦しむ原因を作っておいて。そのおかげで彼女まで苦しんでいます」 「そうだな…。さて、野良話はそこまでにしておこう。彼の行く末を見届けなければならない」 「そうですね。………まだ何も知らない彼女はどうしますの?」 「……知恵の実を食べさせるにはまだ早すぎる。暫くは楽園内で悠々と過ごさせておこう」 「それを彼女は望んではいません。それでも、ですか?」 「………玖珂太刀に聞け」 その場には、2人の女がいた。 1人は、紺色のコートを羽織っていた。腰にはダガーが紐によってくくりつけられてある。そして、どう見ても男物のジーンズをはいていた。サラサラのショートカットの黒髪が印象的だった。 もう1人は、真っ赤なベストを着て、黒いロングスカートをはいていた。紋章が刺繍されているリボンを腰に巻いている。そしてその手には、漆黒のライフルが握られていた……………。 「さて、ではそろそろ参りましょうか」 「そうしよう」 「…………蛇には、永遠に救いの手は無いのでしょうか?」 「蛇は蛇なりの考えがある。それを神に知らしめてやらねば、な。」 「そうですね」 「だが、何故わざわざ玖珂太刀にこの話を持ちかけたのだ?」 「私達だけでは無理でしょうね。おそらくやれないこともないですが、やはり確実性に欠けるのはどうも。引き際を心得ない者には、この計画はまず無理です」 「………………狐め……」 「あら?化け猫さんがそんな事を言うのですか?」 「………さて、な」 「では、そろそろ時間ですよ。パーティーに遅れてしまいます」 「同感だ。行くとしようか」 シュン………! 2人の女は、まるで風のように消え去った。 続く。 |
ZNK
2002年11月09日(土) 22時58分26秒 公開 ■この作品の著作権はZNKさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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どうも・・・青空です・・・ちょっと死んでたためココに来れませんでした・・・(何も聞かないでください)今回はなんだか神話っぽい台詞が気になりますねーっていうか謎だらけ〜ちょっとまた見に来れないけど次回を楽しみに待ってます!! | 5点 | 青空 | ■2002-11-22 13:03:29 | sy73-243.svc.itscom.jp |
テストのため、遅くなりました(汗)おお!!前半めちゃくちゃカッコいいじゃないですか!!何でこんな風に書けるんですか!しかも!最後の方もカッコいい・・・・。あ、私の提供キャラが出てる(^^)ありがとうございます!次も、頑張ってくださいね☆ | 5点 | 桃助 | ■2002-11-17 21:24:49 | u113009.ppp.dion.ne.jp |
弱遅レス?! なんだかどんどん人が増えていきますねー…。私アタマ悪いから整理できなくなって…テヘv でも服装とか、状況説明とかはわかりやすかったです! ではx2今回はこの辺で。ばいちゅvv | 5点 | ちう | ■2002-11-13 20:37:50 | fla1aam088.chb.mesh.ad.jp |
うん、体調には気をつけるわ…。今回もいい感じだったね、次回も頑張って下さいな…。 | 5点 | 水希華蓮 | ■2002-11-11 11:06:34 | taiheiyo.taiheiyo.ed.jp |
なるほど、そういうことだったのですか・・・。(判ってなかったのか・・・。) に、しても上手いですよね・・・。(感心) じゃ!次回も楽しみにしています。ばいび〜 | 5点 | テルル | ■2002-11-10 19:32:33 | yahoobb230082028.bbtec.net |
後半のセリフ。今はちんぷんかんぷんだけど、雰囲気が全然損なわれてないし、後々の伏線としては、バッチグーなのではないでしょうか。 もちろん、前半部分の戦闘シーンも、かなりのレベルです。何気に、戦闘スタッフみたいな人達も良い味出してるし(笑 | 5点 | ユタマチ | ■2002-11-10 01:08:57 | n192099.ap.plala.or.jp |
合計 | 30点 |