七人の戦士 |
一つの武器を極限まで鍛えた者 それを実現させたのはたった七人の男女達。 その七人は最強を誇る【ソーサリー】にスカウトされ、 体の何処かに入った順番にT〜Zと彫った その七人全体で【七人の戦士】と呼ばれた その中の3人目、クロノス・レアノーク 彼は、【ソーサリー】の絶対命令が気に入らず、【ソーサリー】から抜けた それからだ、何かの糸が切れたのかのように次々にメンバーが抜けていった その噂を耳にし、彼・・・・クロノスは旅の意向を変えた。 今までは、ソーサリーから逃れるために一つの地にとどまらなかったのだ しかし、噂を聞いた今はメンバー全員集めて、ソーサリーのバカっぷりを教えてやる・・・・ 七人の戦士 第一話 Vのタトゥーを持つ者 此処は、この世界の小さな小さな町。 そこに、黒い髪と月光のような金の瞳を持つ少年がいた。 彼の名前はクロノス・レアノーク。 クロノスには昔、何でも屋に近い結社にスカウトされたが、しかしそこのやり方・・・・絶対命令が気に入らず結社を抜けて、旅に出ているのだ。 「小さな町だな・・・・・」 静かな静かな、その町はなんだかクロノスには心地良く感じられた。 体を左右に伸ばし、歩きっぱなしで疲れた体に喝を入れ、再び歩き始める。 「さすがに・・・4日間歩きっぱなしは辛いな、・・・うんうん。どっか入ろ〜っと」 無理矢理自分を納得させ、何かの店のドアを開く。 そのドアの先には、雪のような真っ白のコップにコーヒーをついでいるマスターが一人、客も誰もいなく、寂しそうについでいた。 ドアについた鐘でクロノスが着たのに気付くと「いらっしゃい」とクロノスに微笑んだ。 クロノスも微笑んで、マスターの方へと足を進める。 「いらっしゃい。久しぶりの客人だね・・・・・おや?キミは何処から来たのかね?」 「えと・・・・・俺、旅人なもんだから世界中旅してるんだ。此処に来るまで4日もかかっちゃったけど」 「へぇ・・・だから君の服、この辺りの素材じゃないんだね。かけなよ、コーヒーでも飲むかい?」 「あぁ・・・・・・砂糖2つ入れて欲しい」 クロノスがカウンターの椅子に座り、マスターはヤカンの湯を沸かす。 その間にマスターはコーヒーの豆を擦り、沸騰したお湯に入れて混ぜた。 砂糖二つだったね?と確認して角砂糖を二つ、コーヒーの中に入れる。 「はい、このコーヒーは私の自慢の一杯だよ。よ〜く味わってくれ」 カップを握り、コーヒーを口に含む。 熱いコーヒーだったので、クロノスはマスターと会話しながらのんびり飲んだ。 「そういえば・・・この町、皆家に閉じこもってたよな?開いているといったらこの家だけ・・・・・・・何かあったのか?」 「あぁ・・・・、町長さんとこの娘さんとお隣さんの息子さんが魔物にさらわれてな、それから皆子供を守ろうとしてずっと家に閉じこもってるのさ」 「へぇ・・・・じゃあ、その魔物の住処・・・知ってる?」 半分まで飲みきったクロノスが、スッと顔を上げた。 「あぁ、この町を出て東にある森の奥にある住処に魔物とそのさらわれた二人はいるはずだ。しかし、魔物を恐れ誰も助けに行こうとはしない・・・・・・このままではきっと二人は殺されてしまう・・・・」 「・・・・・・じゃあ、俺が行くよ。はい、210イム。この町を出て東の森だね?」 チャリンチャリンのマスターの前に硬貨を出し、椅子から降りた。 マスターは驚いて言葉を失ったがすぐにハッとしてカウンターから体を乗り出す。 「ま、待ちなさい!魔物は強い。殺されてしまうぞ!!」 「大丈夫、俺はソーサリーの元Vだから。きっと助けてくる」 「な・・・・ソーサリー?あの最強の・・・・?信じられない・・・そんな有名な人がこんな町に来るなんて・・・、しかし・・・・何で自分の身を危険に犯してでも赤の他人を助けようとする?」 コツコツとドアへと向かっていたクロノスがマスターの言葉に振り返る。 ニコッと笑ってドアに手を掛けた。 ドアからは太陽の光が筋となってこの店をいっそうに明るく感じるようになった。 「誰だって、自分の家族がいなくなったら哀しいだろ?」 クロノスの左頬にある、ソーサリーの3人目の証・・・Vのタトゥーがマスターの目に映った。 そういうと、クロノスはその店を去ってしまった。 晴れた空を見上げ、彼は町の出口へと進む。 「・・・・・・あれか。マスターが言った魔物の住処の森って奴は」 クロノスが見たのは、見た目からしてかなり毒っぽい森だった。 森の入り口っぽい所まで来て、中に入ると、もう魔物はクロノスに気付いていたらしく、入り口で待ち伏せしている。 一匹の魔物が自分の牙をむき出して、クロノスの方に飛んできた。 「へへっ、こんな奴になめられちゃあ・・・俺は終わりだね♪」 腰のベルトに引っ付けている黒い箱の中に、先っちょに刃がある長い鎖、【バックチェインズ】が入っていて、それを魔物に向けて投げた。 刃が魔物に刺さり、魔物は地面へと落ちる。 クロノスの強さを見て、少し怯え始めた魔物達が森の奥へと逃げ始めた。 「ボス・・・登場かな?ま、行ってみよっと」 ザッザッザと草を掻き分け、森の奥へと進んでいく。 気のせいだろうか、今さっきも此処を通った気がする・・・。 サッと鎖を出してすぐ横にあった木にキズをつける。 「・・・・・あれ?やっぱり・・・・進んでない・・・。俺って迷子ォォォ!?」 「キミは誰?」 クロノスのコートをクイクイと引っ張られ、声のする方に振り返ると・・・誰もいない。 気のせいかな?と思ってきょろきょろ見回したが誰もいないのでまた進み始めようと体を元に戻すと、目の前に精霊らしき者が現れた。 「キミは誰?キミも・・・・この森を汚そうと企むんだね・・・?」 「ち、ちが・・・俺は・・・」 強張る精霊の声にクロノスは二、三歩下がった。 その行動がいけなかったのだ、精霊が完璧に敵だと思い込んでしまったのだ。 軽く舌打ちして、バックチェインズを取り出し、構える。 「この森に魔物が着てから・・・この森は毒の森と化してしまった・・・・このままだと、この近くの町はその毒にやられ滅び、その町からさらわれてきた子供も死んでしまう・・・・・何もかもお前たち魔物のせいだ!!!!」 「違う!俺は・・・・俺はその子供達を助けに町からやって来たんだ!!!!」 クロノスは精霊の攻撃を鎖ではじいてばっかりで攻撃はしなかった。 精霊が勘違いしていることを気付かせてあげるために攻撃は絶対にせず、思い切り大きな声を出して本当のことを叫んだ。 それが戦いの終止符となった、精霊の動きは止まり、クロノスはバックチェインズを手から離し、地面に落とす。 「何・・・?じゃあキミは・・・誰?」 「俺は・・・クロノス・レアノーク。魔物は・・何処にいる?」 「あっち。早くしないと・・森中に毒が広がってるから気を付けて」 クロノスが精霊の指差す方向に向かうと、ごめんなさい・・と言った。 ニッと笑ってクロノスは走っていく。 精霊はなんだかそわそわしていて落ち着けなく、クロノスのあとを追いかけていった。 「コホッ、少し・・・瘴気がきたみたいだな・・・」 クロノスは進むほどに咳の回数が増え、手で口と鼻を軽く押さえる。 ふと、先を見ると、子供が二人座って泣いているのだ。 あれか・・・と思い、足を早めると小さな川の前で止まる。 普通ならブーツを脱いで渡るが此処には瘴気がある、普通には渡れない。 「足溶かされるかも・・・・ん?」 ブーツの先にコツ・・と当たった小石を見て、拾ってもう一度川を見た。 青色のはずの川がピンク色へと変化しているところからヤバイと思うのが普通。 ヒュっと川へ投げてみるとその石は瞬間的に溶けた。ぶくぶくという音をたてながら。 予想外の展開にクロノスは目を見開き、バックチェインズを取り出した。 「コホッ!コホッコホッ!!ヤバ・・早くしなくちゃな・・・・。俺でも・・こりゃキツイわ」 先に見える木の枝に鎖をよく巻きつけ、ターザン風に渡る。 すぐに鎖を回収して子供のもとに走る。 「コホッ、そういえば・・・なんでこいつら無事なんだ・・?ずっとここにいるのに・・・、コホッ大丈夫か!?」 「痛いよぉ・・・お兄ちゃん、ボクたちの食料になって!!」 振り向いたのは子供のはずなのに、クロノスに攻撃してくる。 クロノスが驚きの表情を隠せずうろたえていると、子供はニット笑って変装を解く・・その正体は人型の魔物だった。 「な・・・んだと・・・?俺は・・だまされて・・いたのか・・・ゴホッ!!」 「人質ともなろう子供をこんな瘴気の場に置くはずがなかろう。バカな男だ、もうこの森に入って10分以上は経つだろう。瘴気の毒が体にも回ってくるころ、動けなくなるはず」 「悔しいけどご名答・・・もう動けねぇ・・・意識も・・今にも消えそう・・だ・・・」 クロノスは隣にあった木にもたれ、ズルズルと滑り落ちた。 体内で瘴気と戦っていたようだが、負けたみたいでどんどん体内に瘴気の毒が入っていった、汗が流れてグッタリしている。 「クロノス!!」 クロノスが完璧に意識を失う前にある少女の姿をみた。 薄紫色の二つくくり、片方が青で片方がスカイブルーの瞳。ミニのフレアスカートの下にスパッツをはいており、首筋にはZのタトゥー・・・・・ クロノスはその少女と知り合いである。同じ【ソーサリー】の社員、ソーサリーのお偉いさんの孫娘の・・・ 「ティア・・・・・」 彼女の名前はティア・ランドレット。 【ソーサリー】の7番目の社員であり、【ソーサリー】のお偉いさんの孫娘であったから小さい頃から英才教育で厳しく育てられてきた少女。 そのせいで友達が出来ず、一人でいたところで社員となりクロノス達に会った。 友達が出来た嬉しさに、自分のことよりもメンバー達を優先するようになってきているのである。 「クロノスお兄ちゃんのバカ、なんでマスクもしないでこの森に入ったのよ・・・。でも今は!!クロノスを助けるのがティアの使命・・・だから、あなたには死んでもらいます!!」 ティアが自分愛用の武器、ナギナタを持ち、停止する。 クロノスには、ティアが今さっきまでつけていたマスクがつけられている、これは一応、応急処置。いつ、毒が体内を回るかはわからない。 早く、この魔物を倒して、この森を浄化しなくちゃ・・・ 「フフ・・・・お前みたいな子供が私を倒すだと?・・・なめられたものだな。来い!私の強さを思い知らせてやる!!」 ヒュンヒュンとナギナタを振り、構える。ティアの瞳は真剣であった。 魔物は自分の背中に生えている翼を使い、ティアの後ろへと回り込んだ。 さすがは最強と唄われた【ソーサリー】の一員。すぐに反応してナギナタを魔物に振る。 子供とは思えない強さに、魔物は少し下がり、頬をぷぅっとふくらまし、炎を吐いた。 その炎に二人は囲まれ、ピンチに追い込まれる。 鎖などならこの炎の中から脱出できるが、クロノスは意識を失っている。 「エフェルン・クエルニー・・・この炎を消し去りたまえ」 スッと炎は消え、その声の方向を見ると、今さっきの精霊がニコッと笑ってこっちを見た。 その様子から精霊がこの炎を消してくれたのだろう、そう思った。 「早く!アイツを倒して!!今は動きが止まってるけどこの魔法もそんなに続かないから!!」 「うん。ありがとう!!ハァァァァ!!!」 っザアッ・・・ 風の音がその汚らわしき音を掻き消してくれた。 バタッと魔物が倒れ、ティアはその場に座り込んだ。 ティアが精霊に向かって、「ありがとう」と言うと精霊が二人に近づいて来る。 クロノスの前に手を広げて、少し力を入れると、クロノスの体から紫色の煙みたいなのが出て行った。 すると、クロノスはフッと瞼を開き、目を覚ました。 「クロノス!大丈夫?」 「あ・・・・ティア?俺・・・・・?あんた・・・俺を助けてくれたのか?」 精霊はコクリと頷き、「でも、この人の方が助けてたよ」とティアを指差した。 「サンキュー・・・あ、お前の名前は・・・つっ!!」 「待って!まだ毒が完璧に抜けたわけじゃないみたいなの、だから2時間はあまり動けないと思うよ。ねぇ?精霊さん」 「うん。あ、私の名前はグリゴール、この森の精霊のグリゴールよ」 グリゴールか・・・いい名前だな。憶えとくよ。 そのあと、二人は捕らわれていた二人を助け出して、町へと帰った。 クロノスはマスターと会い、「ちょっと情けねェ格好だけど」と言って、助けたことを報告した。 マスターはとても喜んでいて、何度も何度もお礼を言っていた。 今日はお礼の一部として、宿屋に泊めてもらうことになった。 「ごめんって、な?ティア・・・んなに怒るなよ」 「もうクロノスなんか知らないッ!あともうちょっと遅かったら殺されてたんだからね!!」 その夜、宿屋のある個室のベットでじっとしなければならないクロノスは頑張って隣のベットに座っているティアの機嫌をとっていた。 しかしティアはまったく変わらず、怒りっぱなしである。 「そういえば、なんでティア・・・此処にいるんだ?命令でもされたのか?【俺を連れ戻せ】って・・・」 「ん?あのね、前までその命令出されてたよ。ほんっとーに大事にされてたもんね、クロノスお兄ちゃん。でも、・・・あれ?知らないの?ソーサリーのナンバーズ、解散したんだよ。まぁ、ティア達で勝手決めたんだけどね。だから今【ソーサリー】じゃあ必死になってティア達を探してるんじゃない?だって【ソーサリー】を支えてたティア達がいなくなったんだもん。困るでしょ。」 「じゃあ他の5人も何処かにいるのか!?」 「え・・・あ、うん。そーゆーことになるね。」 「・・・・よし、決めた!!俺はあと5人を集める。ティアも一緒に来てくれるか?」 「うん、いいよ。あのね、ティア暇だったから探してたの。皆を」 クロノスはニヤ・・・と笑って、うれしそうだった。またあのナンバーズが揃うと思うと嬉しくてたまらない。 ナンバーズはとても好きだった。しかし、【ソーサリー】のやり方が気に入らず、やめたせいでナンバーズとは別れてしまった。 【ソーサリー】に自分達がやったばかっぷりを思い知らさせてやろうと、思ったのだ。もう、それはある意味の復讐である。 「あ!クロノスお兄ちゃん、見て!!森から・・・・瘴気が消えていく・・・・」 「ってか俺見えねぇっての、俺の分も見といて」 ティアが出窓にのぼって此処から見える森を見た。 森からはクロノスと同じ様な紫色の煙みたいなのが抜けていき、森の腐ってしまった木はどんどん生え、緑へと変わっていく。 それは幻想的で、ついティアがみとれてしまうほどであった。 「ありがとう・・・・・」 「あ!グリゴール!!あのね、森が・・森が蘇ったよ、緑でいっぱいだよ!!」 「うん、分かってる。だから、二人にお礼を言いに来たの。私はあの森の精霊、グリゴール。あの森の守護精霊として感謝します。それと、森を助けるために姿を現したから、森が蘇った今は、私はまた森と一体化します」 「嘘でしょ?・・・・・・あのね、ティアね・・・グリゴールといっぱいいっぱい話がしたかった!!」 ふわっと屋根から透き通るように下りてきたのはグリゴール。 ティアは出窓から飛び降りて、グリゴールに森の変化を伝えたが、グリゴールの真実も教えられた。 これからはもう二度と会えない。一番別れの辛さを知るティアはその寂しさにグリゴールと話がしたかった・・・と言った。 「私も・・・あなたと話がしたかった・・・・・しかし、私は守護精霊として森の守りに戻ります。だから・・・・クロノスさんとティアさんに・・・これを・・・・」 グリゴールの両手に広がったのは、二つのネックレス。 先っちょに緑色の透き通る一つの宝石がついていて、それを二人に渡した。 「ありがとう!!ありがとう、グリゴール!あのね・・・・このネックレス、絶対大事にするから!!」 「俺もだ」 「うん!その宝石には私の守護の力が少し入っています。二人に・・・・森の、守護がありますように・・・・!!」 初めて会って1時間も経っていないのに、すぐ人と仲良しになるティアはもう涙で目が真っ赤だった。 グリゴールはニコっと笑って手を握り、二人に守護があるように・・・と祈って、その場から姿を消した・・・いや、消えたのだ。 本当は守護精霊となるものは、その守護する場所から離れては行けないので、強制で森に連れて行かれたのだろう。 ティアは頬に流れる涙を拭いて、そのネックレスをつけた。 「とっても・・・綺麗だね・・・・。とっても・・・とっても・・・・」 「あぁ・・・すごく綺麗だ・・・」 宝石に触れて、クロノスのほうに振り向くティアに、頷いてクロノスもネックレスをつけた。 クロノスが手をブラブラ動かして、ベットから降りる。 まだ完全に抜けてないので、フラフラしていて今にもこけそうである。 「クロノスお兄ちゃん?まだ、30分しか経ってないから起きちゃダメだよ」 「大丈夫さ・・・・それより、森に行かねぇか?うまくいけば会えるかもしんねぇだろ?グリゴールに」 「うん!クロノスお兄ちゃんが行くのはあまりいいとは思わないけど、グリゴールに会えるかもしれないなら行く!!」 ティアがクロノスの手を引いて、ドアを開けようとすると、手がいきなりガクッと重たくなった。 クロノスが息苦しそうにしゃがみこみ、声もなく苦しんでいるのだ。 驚いてすぐにクロノスをベットに寝かせ、看病をするため椅子に座ってジッと見る。 「ワリ・・・俺は行けそうにねぇや。また毒が回ってきやがった・・・・ティア一人で行ってくるか?」 「ううん、ティアはクロノスお兄ちゃんの看病するよ。あのね、グリゴールにはこの町を出る時に会いに行くよ。クロノスお兄ちゃんと一緒に」 「そっか・・・・ごめんな、ティア」 そのあとが大変だった。 また動き出したせいで、毒がまた回り始めたせいで、高熱に苦しんだ。 医者には 後遺症が残るだろう、と診断され、時々なんかあったら高熱になるから気をつけて、といわれた。 ティアは懸命にクロノスの看病をし、寝る間もなかった。 2時間で治るはずの毒が、1日かかってやっと治った。 治った直後、ティアは疲れと睡眠不足で今寝ている。 「ありがとな・・・ティア」 ティアが眠るベットに座ってティアの額に触れる。 さらさらの髪がクロノスの手に当たり、窓が開いていることに気付いた。 窓をしめ、椅子をティアが寝ている方に向けて、座った。 「ん・・・?あれ、ティア・・・?クロノスお兄ちゃん!!」 バッと起き上がって叫ぶと、隣の寝息に気付いて口をふさいだ。 何時間寝れば気が済むんだ、と思うのだが、クロノスは椅子の上で腕を組みながら寝ていた。 屋根を見上げて、記憶を蘇らせていくと、自分は睡眠不足で寝ていることを思い出す。 「・・・・ん?ティア起きたのか?」 「ごめん・・・起こしちゃった?あのね、もう体は大丈夫?動けそう?」 「今起きただけでティアが起きたなんて全然知らなかった。それと俺はバリバリ元気で今なら50M走で7秒切りそうな状態。なんかあったか?俺が苦しんで寝ている間に」 「あ・・・うん。あのね、お医者さんが言うには・・・・この毒の後遺症が残って何かあったらまた高熱が出るって言ってた・・・他にはもうないよ」 ティアがクロノスを起こしてしまったと思い、ベットから降りてクロノスの額を触って、熱は治ったかと確かめた。 起きてすぐの状態のせいでクロノスは寝ぼけていて、どうでもいいことまで言っている。 「あーっと・・・今何時・・・?時計・・時計・・・お、あった。今は・・・・・でぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?!?!?」 「ど、どうしたの?なんかあったの?」 「今、朝じゃねぇか!!俺は10時間以上も寝てたっていうのか!?」 「うん、そうだよ。さ、そろそろこの宿出ないとこの宿屋の人損してばっかりになっちゃうから・・・・じゃ、出発!もちろん、行き先はグリゴールのいる森!!」 バタバタと走って階段を降りて、宿屋の主の人とおしゃべりしている。 クロノスは笑って、バックチェインズをつけて階段を降りた。 「あ!クロノスお兄ちゃん!!早く早くゥ!!じゃあ、ありがとう。宿屋のおじさん」 「いやいや、こちらこそ・・・・。私の息子を助けていただいて・・・本当にありがとうございました」 「じゃあ、お世話になりました!またいつか来ます!!」 そう言うとティアは嬉しそうに外に出る。 クロノスはお辞儀をしてからティアがいる外に出る。 しかし、ティアは早く、もう町の出入り口にいた。 薄紫色の髪を揺らしながら、ティアは思い切り手を振りまくる。 クロノスは微笑んで、ティアのもとへと走った。 「グリゴール、見て・・・ティア、グリゴールにもらったペンダントつけてみたよ?似合う?」 此処は森、ティアが森の一番大きい神樹の前にたって、話しかける。 それで、グリゴールに伝わるとは限らないが、ここが一番いそうな所だったから、ティアがその神樹に抱きつく。 「あのね・・ティアは、クロノスお兄ちゃんと一緒に旅に出るよ。仲間を探しに行くんだ!!・・・・・だから、バイバイ・・・また来るね」 「もういいのか?ティア」 精一杯涙をこらえながら話しかけるティアに、クロノスは見ていられなかったから、眼を逸らす。 ポケットに手をつっこんで、目を逸らし続けてちょっとしたらティアが振り返ったので、意外だと感じた。 ティアはクロノスの質問にコクリと頷き、神樹に向かって手を振る。 《バイバイ・・・また来てね・・・》 「!?グリゴール?何処!?何処にいるの?」 ティアがくるくると急ぎながら回りを見回すが、回りにはクロノスしか立っていない。 姿を現すのは難しいということを知ったティアは悲しみも溢れてきたが、それ以上に嬉しさがあった。 グリゴールが返事してくれたこと、ちゃんと・・・自分の声を聞いてくれてるんだ。と実感したからである。 「行こう、クロノスお兄ちゃん。皆を探そう!!」 「あぁ・・・そうだな、俺が一番頑張らねぇといけねぇしな」 スタスタと二人は森の出口の方へと向かって歩き始めた。 クロノスはん〜っと言いながら腕を空へと伸ばし、ティアはクロノスの周りをくるくる回って笑っていた。 木と木の間から一筋の光となって降り注ぐこの森に歩く二人はとても可愛らしく見える、それをグリゴールは姿を現さず笑顔で見ていたことは、二人は知らない。 ≒TO BE CONTINUED≒ |
遥
2002年11月08日(金) 20時28分18秒 公開 ■この作品の著作権は遥さんにあります。無断転載は禁止です。 |
|
この作品の感想をお寄せください。 | ||||
---|---|---|---|---|
うわ、すみません(初ミス)。 下の続き>ストーリーの流れ、テンポ、内容。どれもすばらしい。それに加えて、文も丁寧な作りとなっていて、正直驚かされました。これからが楽しみです。 | 5点 | ユタマチ | ■2002-11-10 00:59:58 | n192099.ap.plala.or.jp |
いや、これは、高い(?)。 ストーリーの流れ、 | 1点 | ユタマチ | ■2002-11-10 00:57:47 | n192099.ap.plala.or.jp |
こんばんはW穂月で〜す!わ〜!ティアがもう出てる〜!!!(驚)遥サンキュ〜!うれしいよ〜!!!!!(うるさい)なんか小説いい感じだねえ。これからも応援してるよ!でわでわ、次回もがんば!! | 5点 | 穂月 | ■2002-11-09 19:33:14 | host-j190.izumo.ne.jp |
はい、ごめんなさいv読み逃げしてまs(逝ってこい。 いや〜。始まりましたねーoo ティアチャンとクロノスクンの会話がおもしろい♪♪ 50M走7秒切りますか!?(笑)んではレノが出てくるのを首を長くして待ってマス。(>▽<) | 5点 | 要 | ■2002-11-09 19:29:17 | catv-100-020.tees.ne.jp |
たのしみです!!ずうーと待ってます | 5点 | ケイスケ | ■2002-11-09 17:28:17 | acca1aaa134.aic.mesh.ad.jp |
合計 | 21点 |